東京地方裁判所 昭和46年(特わ)124号 判決
被告人
本籍
群馬県桐生市本町二丁目二八四番地
住居
東京都台東区千束三丁目一九番一一号
職業
トルコ風呂経営
石井要
明治四五年七月一九日生
被告事件
所得税法違反
出席検察官
米田昭
主文
1 被告人を懲役八月および罰金三、二〇〇万円に処する。
2 右罰金を完納することができないときは、一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
3 この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、東京都台東区花川戸一丁目七番三号ほか二カ所において、トルコ風呂四店を経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、入浴料収入等の一部を除外して架空名義および無記名の定期預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ
第一、 昭和四二年分の実際課税総所得金額が六七、七七一、〇〇〇円あつたのにかかわらず、同四三年三月一四日東京都台東区浅草駒形一丁目八番一〇号所在所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、課税総所得金額が一六、六六〇、〇〇〇円でこれに対する所得税額が七、七三一、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額四一、六四七、〇〇〇円と右申告税額との差額三三、九一五、二〇〇円を免れ
第二、 昭和四三年分の実際課税総所得金額が八三、六八二、〇〇〇円あつたのにかかわらず、同四四年三月一四日同区蔵前二丁目八番一二号所在所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、課税総所得金額が一二、〇六六、〇〇〇円でこれに対する所得税額が五、二〇五、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額五三、五八〇、八〇〇円と右申告税額との差額四八、三七五、二〇〇円を免れ
第三、 昭和四四年分の実際課税総所得金額が九二、六三六、〇〇〇円あつたのにかかわらず、同四五年三月一六日前記所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、課税総所得金額が一七、一一六、〇〇〇円でこれに対する所得税額が七、八七二、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額五九、九九五、五〇〇円と右申告税額との差額五二、一二三、二〇〇円を免れ
たものである。(なお、右各所得の内容は、別紙一ないし三の各修正損益計算書のとおりであり、各税額の計算は別紙四の税額計算書のとおりである。)
(証拠の標目)
一、 大蔵事務官作成の次の書面
1 タオル仕入月別調査表
2 昭和四二年分コーラ等ドリンク仕入調査書
3 昭和四三年分コーラ等ドリンク仕入調査書
4 昭和四四年分コーラ等ドリンク仕入調査書
5 減価償却額調査書
6 昭和四四年分架空減価償却費等調査書
7 借入金返済状況調査書
8 銀行調査書類
9 営業収入鮮明資料
10 石井要の昭和四二年分不動産所得金額について
一、 税理士小林民雄作成の上申書
一、 大村敏の検察官に対する各供述調書
一、 東京都台東税務事務所長羽山正男作成の租税の納付状況等照会に対する回答書
一、 押収してある次の証拠物(昭和四六年押七七七号)
1 稼働表二袋(符号1、2)
2 メンバー表等一袋(同3)
3 四四年分売上高表等一袋(同4)
4 四二年分所得税の確定申告書一葉(同5)
5 四三年分所得税の確定申告書一葉(同6)
6 四四年分所得税の確定申告書一葉(同7)
7 四二年分の所得税青色申告決算書一綴(同8)
8 四三年分の所得税青色申告決算書一綴(同9)
9 四四年分の所得税青色申告決算書一綴(同10)
一、 被告人作成の昭和四三年分不動産所得についてと題する書面
一、 被告人作成の昭和四三年分所得税青色申告決算書(不動産所得用)における借入金利子についてと題する書面
一、 被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書
一、 被告人の検察官に対する供述調書
一、 被告人の当公判廷における供述
(法令の適用)
1 罰条 各事実につき所得税法二三八条(いずれも懲役刑および罰金刑を併科)
2 併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑につき第三の罪の刑に加重)
3 労役場留置 同法一八条
4 執行猶予 同法二五条一項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 松本昭徳)
別紙一 修正損益計算書
石井要
自 昭和42年1月1日
至 昭和42年12月31日
〈省略〉
〈省略〉
別紙二 修正損益計算書
石井要
自 昭和43年1月1日
至 昭和43年12月31日
〈省略〉
〈省略〉
別紙三 修正損益計算書
石井要
自 昭和44年1月1日
至 昭和44年12月31日
〈省略〉
〈省略〉
別紙四 税額計算書
〈省略〉